【おいしい給食】第10話　二人だけのカレーライス｜最終回のネタバレ　あらすじ

甘利田幸男（市原隼人）はいつも以上にソワソワしていた。創立100年を迎える常節中学校の歴史と共に給食史上初の「米飯」、つまりは白米が登場するのだ！しかもおかずはカレー！神野ゴウ（佐藤大志）も今か今かと待ち構えている。だが、なんと届けられるはずの「米飯」が他校へ誤送されてしまったことが発覚する！そして、ゴウと甘利田はとんでもない行動に出るのだった！

そうか・・・

今日という日まで100年かかったのか

今日　ついに　わが校に・・・

米が来る！

待ちに待った米飯給食

開校100周年に合わせ込んでくるとは

居ても立っても居られない

米が来る

アメリカの事をなぜ「米（ベイ）」というかは知らんが

これは給食における黒船来航だ！

そう・・・　黒船来航！

藤井　　神野くん　　何してるの？
神野　　待ってるの
藤井　　何を？

神野　　今日初めてご飯が出るんだよ。　給食センターからトラックが来る時間なんだ

藤井　　神野くんは　給食がご飯になるのを待ってたんだね

神野　　うん

藤井　　じゃあ　もう・・・　本当にパンはいらないんだね

あんまり　そんなとこにいると熱射病になっちゃうよ

（藤井はその場を去る、するとトラックの走行音が、神野はそれを確認しどこかに向かう）

御園　　中間試験の問題頼まれちゃったんですけど、これ　いつも同教科の先生たちと話し合って決めてます？

国語の出題って決まってるじゃないですか。特に読解。　教科書に載っている名作中心であとは童話とか・・・　これ変えちゃっても可ですかね？　　例えば三島とか

私　やるからにはとことんって思ってて・・・　自分の色というか爪痕残したいっていうか・・・　私　三島由紀夫　好きなんですよ。　先生　どう思いますか？

（あわてて献立表を机にしまおうとするが、手を挟んでしまう甘利田）

甘利田　イテッ　あっ・・・

御園　　聞いてました？
甘利田　なんとなく
御園　　なんとなくって・・・

甘利田　出せばいいじゃないですか　三島

御園　　聞こえてるじゃないですか

甘利田　市ヶ谷で割腹した人でしょ？

御園　　そこはいいでしょ

甘利田　はい　専門外です。お好きなように

御園　　なんか・・・いつもそうですけど　今日は特に冷たいですね

甘利田　そう見えますか？

御園　　すごく見えます

甘利田　大丈夫です。　今日は元気出ます

御園　　えっ？

（御園の耳元に近づき)

甘利田　今日は銀シャリです　しかもカレーですよ

あっ・・・　関係ないですね

御園　　関心そこなんですね・・・

わが校初の米飯給食という　この記念すべき日

奴が何を仕掛けてくるのか・・・

米飯にカレーでカレーライス

サイドメニューに　なんと　一口カツという

これはもう　カツカレー以外　あり得ないわけで・・・

それで済ませるはずがないのが　神野ゴウ

んっ　どうした？

（神野が正面を向き、何かをひらめいたように笑い、何かを書きだす）

何か思いつきやがったな・・・　なんだ？なんだ　なんだ？

なんだ？　その顔・・・　何を思いついた？

これは　どう考えてもカツカレーごときではない

なんだ？

奴は　何を思いついた？

この記念すべき日にせめて　完敗だけは避けたい

焦るな・・・　献立を思い出せ

今日はカレー　米飯　一口カツ　これに　いつもの牛乳にデザートのリンゴ

あと・・・　はっ！　コールスロー！

キャベツやニンジンをマヨネーズ的なもので和えた　あれだ・・・

あれを何かに使うのか？

カレーにコールスローをぶっ込む

そして　そのまま食らいつく

あっ　いやいや　いやいや・・・

どう考えても　うまくないだろう

なんだ？　何を思いついた？

甘利田　コラ　走るな！

牧野　　大変　大変！

甘利田　大変？
牧野　　うん！　　御飯が来ないのよ！

甘利田　ああ・・・

牧野　　他のおがずは来てるのに、ご飯だけこないからおかしいなと思って連絡したら、給食センターが間違えて北中に送っちゃったって言うのよ

で　代わりにうちには常節北中に送るはずのパンが配送されちゃって・・・

甘利田　それで　奴は？

牧野　　「そんなの許せません！」とか言って「米を取り返すんだ！」とか言って・・・

甘利田　米を取り戻す？

牧野　　そう！　もう　そんなの諦めなさいって言ったんだけど・・・
甘利田　それは　まずいな・・・

牧野　　うん　ご飯の日なんて　またあるんだから・・・

甘利田　北中に迷惑をかけるわけにはいきません　　失礼

（神野を追い走り出す甘利田）

牧野　　ちょっと！　ちょっ・・・　先生！？

甘利田　あっ・・・　あっ　すみません！

児嶋父　はい

甘利田　自転車　貸してください

児嶋父　あれ？　甘利田先生じゃないですか

甘利田　そうです・・・

児嶋父　ああ　息子がお世話になってます　児嶋哲雄の父です

甘利田　児嶋くんの・・・

児嶋父　ええ　近くで造園屋やってましてね　今日はこのへんの・・・
甘利田　急いでますので・・・　自転車貸してください

児嶋父　ああ・・・いいですけど　どちらへ？

甘利田　殴り込みです

児嶋父　はあ？　ああ　じゃあ　先生　これ
（もっていた剪定ばさみを甘利田に手渡そうとする）

甘利田　結構です

児嶋父　いやいやいや　殴り込み・・・
甘利田　結構です！

（児嶋父を振り切って走り出す甘利田）

五条川　君！　なんだ？　あれ？　君　うちの生徒じゃないな

神野　　常節中学校　１年１組の神野です

五条川　常中の生徒が　こんな時間　こんな場所で何やってんだ？

神野　　今日　うちに来る予定のご飯が、間違えてここに配送されたと聞きました

五条川　えっ　えっ・・・　そうなの？

神野　　それで　ご飯を戻して頂きたいと思いまして

五条川　戻してって・・・　君一人で？

神野　　僕一人では運べませんので、給食センターの車の手配をお願いできませんか？

五条川　いやいや　それは・・・　それは難しいと思うな

えっ　でも　今日　そっち　ご飯だったんだ

神野　　今は　こちらに来ていますが・・・

五条川　ああ・・・　でも　もう4時間目も終わるし諦めなさい。　それに　そんな理由で学校抜け出したら駄目だろう

神野　　そんな理由とはなんですか

（そこに北中の教師迫田が現れる）

迫田　　どうしました？

迫田　　まったく　常中は何やってんだ！　こんな生徒　野放しにして

（神野の胸倉をつかみ外に引きずっている）

神野　　お願いします！　　話を聞いてください！

五条川　迫田先生　この子なりの理由があるみたいなんで、そんな手荒な・・・

迫田　　子供の言い訳　全部聞いてたらキリないですよ。それに　よその生徒が授業を抜け出してきてて注意しない教師がどこにいますか！

五条川　それはそうなんですけど・・・

（神野を乱暴に突き放す、玄関に倒れ込む神野）

迫田　　自分の学校に帰りなさい。二度とこんな馬鹿なまねするんじゃねえぞ

甘利田　馬鹿なまねとはなんだ

迫田　　ああ？

甘利田　馬鹿なまねとはなんだと聞いている

（いつの間にかに追い付いた甘利田が神野のもとに現れた）

五条川　あの・・・　どちら様でしょう？

甘利田　その生徒の担任です

迫田　　ああ・・・　担任？　常中の教師なら　この生徒どうにかしてくださいよ

甘利田　はあ・・・　どうにかはするが　その前に聞いている。　神野は間違いを正しに来ただけだ

馬鹿なまねなどしていない

迫田　　どういう事でしょう？

五条川　なんか　今日の給食の献立が誤配送だったみたいで・・・

甘利田　神野は　必死に走ってきた。あんたたちにも噛みついただろう

だが　正しいことを言っていたはずだ。

なぜなら、間違ったのは大人のほうだからだ

迫田　　だからってこんな時間に、よその中学に乗り込んでいいわけないだろうが

（黙って迫田に近づき、胸倉をつかみ振り回す甘利田）

迫田　　うわっ！　ちょっ・・・　何すんだ・・・！

（さらにはげしく振り回し、床に迫田を投げ出す）

甘利田　あなた　神野にこうしてましたね

えっ？　どうですか？　気分は

迫田　　警察呼ぶぞ！

（再びつかみかかる甘利田）

甘利田　これは　罪人に対する行為だ。　神野は罪人じゃない。

間違いを正しに来ただけだ

どんな方法であれ、子どもの真剣な姿に触れた時、大人はたとえ相手が子どもであっても

負けを認めなければならない

五条川　負けですか・・・？

（甘利田の手を振り切って）

迫田　　早く連れて帰ってくださいよ

甘利田　帰るぞ　神野

（帰っていく2人の背中を複雑な表情で見送る五条川）

泣いたら負けだ

お前は勝った

米は　また出る

御園　　先生　どこ行ってたんですか？

甘利田　誰もいませんね

御園　　５時間目は体育なので。　神野くんも一緒だったんですか？

甘利田　ええ。　給食・・・終わってしまいましたね

（御園が微笑み、外からの光で後光がさしているようになる）

御園　　用意しておきましたよ

冷めちゃいましたけど

甘利田　あっ　いや・・・　ありがとう

神野　　ありがとうございます！

御園　　どういたしまして。　じゃあ2人で食べてください

（御園は2人を残して退室する）

２人　　いただきます

神野　　先生

甘利田　おう

（すると二人はそろって茶封筒を開け始める、なんとそこにはアルミにくるまれた米が）

五条川　すみません！

（五条川に呼び止められ振りむく甘利田と神野）

五条川　あの・・・これ配膳室にお願いして作ってもらいました。

おにぎりです

握っただけですけど　２個ずつ。なんか　かえって迷惑でしたか？

甘利田　いえ・・・

五条川　しかし給食にご飯が出るようになったんですね。

（神野に向かって）

五条川　これから楽しみだな。ハハハ・・・

（甘利田は深くお辞儀をしながら）

甘利田　・・・はい

甘利田はアルミをはがしご飯をカレーに入れる。さらにもう一個入れようとすると

神野　　待って！　一つずつ。あふれちゃいます

甘利田　わかってる

（甘利田はカレーを一口食べ、目を閉じ微笑む）

甘利田　うん・・・　あ～・・・

（神野もカレーを食べ微笑む）

しばらく２人無言で給食を穏やかに食べている

甘利田　そういえば・・・

神野　　はい？

甘利田　今日は何を思いついてたんだ？　また何か仕掛けるつもりだったんだろう？

神野　　今日はノープランでした

甘利田　そうなのか・・・

神野　　カレーはカレーですよ

（そう言って神野は授業中に描いたと思われる、カレーライスの絵を甘利田に見せる）

甘利田　そうだな・・・

カレーはカレーだな

神野　　はい

甘利田　うまいな

神野　　はい

甘利田　リンゴやるからカツくれ

神野　　はい

甘利田　ああ　うまい　これだ